ビール業界は今後のコストを乗り切る準備が必要

インフレによる製造コストの上昇は、ここ数十年来見られなかったものであり、ビールメーカーにとってはさらなる問題となりそうだ。

ラボバンクの最新レポートでは、コストをカバーするための追加価格設定の課題が取り上げられ、業界がどのように対応すべきかがアドバイスされている。

ラボバンクの飲料部門シニアアナリスト、フランソワ・ソネヴィルは、ビール・クォータリー2023年第1四半期レポートの中で次のように述べている：「昨年、ビールメーカーは投入コストの劇的な上昇に直面したが、我々の試算では、契約やその他の仕組みにより、スポット価格の最悪の変動を回避することができた。

ソネヴィルは、「今後、いくつかの品目のスポット価格が下落しているとはいえ、主要品目は2021年の水準を大きく上回っており、ビールメーカーは契約やヘッジがロールオフしたため、さらなる売上原価（COGS）の上昇に直面するだろう。さらに、来年は賃金インフレとエネルギー価格の上昇がさらなる逆風になると考えています」。

ラボバンクは、過去2年間の商品価格高騰の影響を、効果的なヘッジ戦略によって限定的に抑えたビール会社もあったが、ヘッジによって極端なボラティリティの影響を回避し、短期的にはコストを抑制することができたものの、一部のヘッジが解除され、価格契約が再交渉されるにつれ、コスト上昇の現実を無期限に先送りすることはできないと警告した。

この報告書では、醸造業界におけるコストの劇的な上昇が、業界内の価格設定に明白な影響を及ぼしたことを概説しており、ビールメーカーが取引先を失うことを恐れてコスト上昇分を顧客に転嫁するのが遅れたため、コスト上昇が「深刻なマージンの圧縮」と呼ぶ事態を引き起こしたことを強調している。

このカテゴリーを深く掘り下げた調査結果では、当面の間、ビールメーカーは営業利益率を維持するのに十分な値上げを行いながら、販売量の減少による営業効率の低下を可能な限り抑えるという、微妙なラインを歩む必要があることが明らかになった。

また、「コストの観点からは、ビールメーカーは現在公に話しているよりも、より多く、より長い値上げが必要であろう」とも指摘している。これは、「景気後退がより緩やかになり、かつ／または消費者が予想以上に財政的に健全になり、あるいはワインや蒸留酒メーカーもさらなる値上げに踏み切れば」容易になる可能性があるとしている。そうでなければ、「ビール会社は中期的なマージン予想を再考し、プレミアム・イノベーションによるより良いパフォーマンスを期待する必要がある」というのがアナリストのアドバイスだ。